「地神碑」。

(あしあと その188・東区の3・中沼の3)

先に紹介した「牛馬頭観音像」のあるバス停から、車がすれ違えないほどの横道を進んでいくと、その先の右手に福移小中学校の建物が見えてきます。この学校は、隣接する小学校と中学校が施設を共有する、札幌市内で唯一他学区からの通学が認められた特認校です。この学校のすぐ手前にある、道路から奥まったところに建つ小さな建物の赤い屋根が目を引きますが、これが福移神社です。近づくと道路際の鳥居から参道が延び、その奥にある神殿までの間に幾つかの石碑が並んでいるのがわかります。

社殿に一番近い場所に位置するのが、五角柱の形状をした「地神碑」です。五角柱の地神碑は、札幌市内に十数か所しか現存していないと言われていますが、その大半が北区内に所在し、他には南区内に2か所、それと厚別区の開拓の村とこの場所に1か所ずつが残されています。

碑の正面には「天照大神(あまてらすおおみかみ)」と刻まれ、その他時計回りに「少彦名命(すくなひこのみこと)」、「埴安媛命(はにやすひめのみこと)」、「稲倉魂命(うかのみたまのみこと)」、「大己貴命(おおなむちのみこと)」の合わせて五祭神の名前が刻まれています。この五祭神は、天照大神が太陽、少彦名命が開拓、埴安媛命が土、稲倉魂命が穀物、大己貴命が農耕と、いずれも農業に関係する神々になります。

また、碑の台座の正面には、

「明治三十四年旧八月吉日 篠路村当別太 惣氏講中 世話人 多田益太 岡嶋杉造 藤沢角太郎」

と刻まれています。

「歴史のあしあと 札幌の碑」(東部版)

「歴史のあしあと 札幌の碑」 ふとしたことで、札幌とその近郊に残された石碑や記念碑が気になり始めました。 歴史が刻まれてきた碑の数々を、後世に引き継いでいけたらと思います。

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