(あしあと その191・北区の4・篠路の1)
'80年代に宅地開発が行われて、現在は一大ニュータウンと化したあいの里。その北側に位置する北海道教育大学札幌校は、'87年に中央区から移転しました。キャンパスの広大な敷地の西側には、蛇行する石狩川の流れやペケレット沼などの自然が広がり、南側の住宅地とは対照をなしています。北海道教育大学札幌校のすぐ西側には、敷地に沿ってあいの里緑道という散策路が南北に走っていますが、さらにその西側は広大な農作地が広がっています。この緑道の南端の入口から約70メートルほど北上すると、農作地の中に東西に走るあぜ道があり、そこを西に向かったところに樹木が数本まばらに立っているのがわかります。その樹木の根元にあるこじんまりとした石碑が、「馬頭観世音」碑です。
碑面には、大きく「馬頭觀世音」と、その背面には「昭和十三年六月十六日桺澤建之」とそれぞれ刻まれています。
碑の左脇には説明板が建てられていて、それには、
「篠路の馬魂碑・馬頭観音
開拓時代、馬は農耕や輸送に貴重な役割を果たした。人々は優秀な馬の導入に力を入れ、明治30年代にフランスからペルシュロン種を輸入し改良に成功した。とりわけ篠路は、大正から昭和にかけて優秀なペルシュロン種の産地となり、「篠路ペル」の名で道内各地へ送り出されていた。この碑は、篠路で生まれ活躍した農耕馬の健康を願うとともにその魂を慰めるため、開拓農民が篠路の野に建立したものの一つである。」
この碑が建てられている敷地は、柳沢農場の一部になります。碑の背面に刻まれた「桺澤」は、農場主の柳沢氏の旧字体であることから、この碑がご先祖によって建てられ、子孫の手によって保存されていることがうかがえます。
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