「人工雪誕生の地」碑。

(あしあと その409・北区の31・北海道大学の5)

北大構内を総合博物館から北に向かっていくと、左手に大野池を中心とした散策路があります。その南側の入り口付近の木陰に、白御影石で造られた六角形の石碑があります。

この碑が、「人工雪誕生の地」碑です。碑は六角形の雪の結晶を象っており、碑面に大きな文字で「人工雪誕生の地」と刻まれており、下部には

「BIRTHPLACE OF THE FIRST ARTIFICIAL SNOW CRYSTAL 12TH MARCH 1936」

と刻まれています。

碑の背面には黒御影石の石板がはめ込まれ、そこには、

「この地は 昭和十年十月 常時低温研究室が建てられた場所である 翌年三月 ここで理学部物理学科中谷宇吉郎教授が 初めて雪の結晶を人工的に成長させることに成功した 人工雪の実験は 同年十月天覧の栄に浴し さらに数年たゆむことなく続けられ ついに雪結晶生成機構が明らかにされた この研究により同教授は昭和十六年五月 日本学士院賞を受けた。

その後も この三十平方米余の小さな低温室からは 凍上 雷 着氷 円板氷結晶などに関する数々の先駆的研究が生み出された これらの研究成果は本学低温科学研究所創立の機運を導き またわが国雪氷学・雲物理学発展の基盤となったばかりでなく 国際的にも高い評価を受けた この研究室は昭和十六年低温科学研究所分室となったが 後同所の拡張移転に際して理学部所管となり 昭和五十三年八月その使命を終えて撤去された

われわれはこのゆかりの地に碑を建て北海道大学が世界に誇る雪氷研究の原点を永久に記念する

昭和五十四年六月四日 人工雪誕生の地記念碑建設期成会 常時低温研究室の規模 鉄筋コンクリート 一部二階建 建築面積 一七八平方米 延面積 二一四・五平方米 低温室面積 三三平方米 最低温度 零下五十度 題字 関戸弥太郎」

と刻まれています。題字を揮毫した関戸氏は、名古屋大学名誉教授で亡くなられた研究者で、中谷教授のもとで初期の人工雪実験に貢献しました。

碑の脇には説明板が立てられていて、そこには、「低温研の前身となった理学部常時低温実験室(昭和11年頃)人工雪の結晶を撮影するのは中谷宇吉郎博士。」と記された白黒写真が掲げられています。

中谷教授の研究成果は海外で高く評価され、その名前は小惑星や南極の島にも付けられています。

「歴史のあしあと 札幌の碑」(東部版)

「歴史のあしあと 札幌の碑」 ふとしたことで、札幌とその近郊に残された石碑や記念碑が気になり始めました。 歴史が刻まれてきた碑の数々を、後世に引き継いでいけたらと思います。

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