(あしあと その118・豊平区の13・平岸の10)
平岸にある天神山の参道を登っていくと、山頂にある第二鳥居の手前の左側に大きくくぼんだ場所があり、そこに草相撲の土俵が設置されています。この土俵の奥の林の中に、自然石でできた大きな石碑が建てられています。これが、かつて澄川地区で行われた草相撲で人気を博した千鳥石の功績を讃えて建立された「紀念千鳥石」碑です。
最初この碑は、天神山の中腹の参道わきに建てられていたそうですが、その後有志の手によって現在の地に移設されたんだそうです。碑面に大きく「紀念千鳥石」と刻まれた碑の台座の右側面には、
「発起人 中井喜太郎・中井末吉・吉田庄蔵」
のほか、世話人として3人の名前が刻まれています。
碑の裏面には
「大正六年八月 札幌地方相撲頭取 福井縣人 吉田清」
と刻まれていますが、この吉田清こそ、遠く福井から札幌に流れ着いて地方相撲で活躍し、地方相撲の頭取にまで上り詰めた千鳥石その人です。
吉田は相撲界から退いた後、地元の澄川で豆腐などの小売店を開業し、さらにはビール瓶の原料となる火山灰の採掘・運搬事業に携わって財をなしました。64歳で没するまで、相撲のラジオ中継は欠かさず聞いていたそうです。
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